アケコン用の防音ボックスをDIYした話

こんにちは、りせ(@rice_Place)と申します。

 

このブログではIIDXの難易度推定にまつわる記事を公開して来ましたが、今回は趣向を変えてアーケードコントローラー用の防音ボックスをDIYした話をしたいと思います。

 

きっかけ

集合住宅への転居を機に、ある程度の防音ができるIIDXプレイ環境を整備しようと思い立ち、気になっていた簡易防音室をいくつか調べてみたところ、立ち環境を完全に覆えるサイズのものは最低でも10万円以上すること、加えて換気が不十分でPC等を持ち込むと相当な暑さになることがわかりました。音ゲーなどしようものなら熱中症になる未来が見えます。

 別の選択肢として、部屋の壁全体を防音効果のある素材で覆うことも考えましたが、ごく一般的なワンルームでも相当なコストと手間が掛かることがすぐにわかりました。そもそも賃貸物件なので可能な工事はごく限られています。

 

そんなあるとき、以前にこんなツイートを見掛けたことを思い出しました。

  引越したばかりなのでダンボール箱は無限に余っており、すぐにIIDXアケコンPHOENIX WAN)で試してみたところ、確かにそれなりに打鍵音が小さくなったように感じられました。

 

一方プチプチは手元に無かったので、代用できそうな素材を調べてみると、こちらのサイトを見つけました。

www.tamusguitar.com 非常に情報量の多い素晴らしいページです。必要そうな情報をまとめると、防音には吸音、遮音、制振といった要素があり、それぞれの目的に対して適している素材があるようです。ちなみにダンボールは買うほどではないが若干の防音効果がある素材として紹介されていました。

 

素材探し

防音の基礎知識についてより詳しくまとめられているのがこちらです。

www.bouon.jp

防音対策には、吸音材、遮音材、防振制振材を組み合わせることが大切です。

<例> 隣家に漏れる音を減衰させる場合

音源側に吸音材を置く → 室内の音を吸音し、音を小さくする
外側に遮音材を置く  → 音が外へ漏れるのを防ぐ

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今回の目的に合わせるなら、遮音効果のある箱を用意して吸音効果のある素材で内側を覆えば良さそうなことがわかります。

 

先ほどのページで木製の板(ベニヤ板など)は扱いやすく遮音効果の高い素材として紹介されていたので、PHOENIX WAN(8*52*27cm)が入るサイズの木箱を探しました。

item.rakuten.co.jpアフィリエイトではありません

 

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注文時は1370円(税・送料込)

 中古のりんご箱には一定の需要があるようで、いくつかのサイトが通販で扱っていました。もちろん新品を購入したり、一から作っても良いと思います。どちらにせよ注文する前にプレイの邪魔にならない大きさを確かめておきましょう。記載の寸法に加えて吸音材を敷き詰めることを考えた余裕を取っておく必要があります。

 

次に吸音材ですが、ウレタンフォームが最適のようだったので、探してこちらを見つけました。

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※こちらもアフィリエイトではありません

 

複雑な空気の層に衝突することで音のエネルギーが熱へと変換される、というのが吸音材の原理なようで、波型のカッティングは表面積を増やしてそれを助けてくれるようです。

 その観点では、液体や気体を通す「連続気泡」の構造が重要であり、プチプチ・発泡スチロール・硬質ウレタンフォームといった「独立気泡」の素材は吸音材として使用することができないそうです

 また、市販されているスポンジも多くはウレタンフォーム製なので代用可能ですが、体積あたりの単価はそれほど安くないので注意してください。

 

組み立て

素材はそれぞれ数日で届きました。

 注文したりんご箱は予想よりも綺麗でしたが、隙間やささくれ等は結構ありました。中古品を使う場合は最低でも紙ヤスリがけ程度はした方がケガ防止になると思います。

 ウレタンフォームは圧縮梱包で届いたので、復元まで丸一日待つ必要がありました。今回注文した商品には専用の両面テープが同梱されていたので、それを使って接着していけば良さそうです。

 

制作自体は1時間もかかりませんでした。りんご箱の内側に適当な大きさに切ったウレタンフォームを貼っていくだけです。フォームどうしに隙間を作らないように注意しましょう。多少は雑にやっても、少し大きめにフォームを切れば復元力でピタッとフィットしてくれます。

 (本当は過程の写真があれば良かったのですが、製作中は記事にまとめる予定が無かったので……。)

 

 完成したものがこちらです。f:id:rice_Place:20210407210038j:plain

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見た目はあんまり美しくないですが、肝心の防音効果はどうでしょうか。

 

モニタとスピーカーが置いてあるボックス前方(箱が閉じている方、距離60cm程度)と、プレイヤーの自分を挟んだボックス後方(箱が開いている方、距離1m程度)について、スマホの騒音計で測定してみることにしました。

 測定したのは、無対策・ダンボールのみ・防音ボックス・比較用のオートプレイ(スピーカーからの音のみ)の4パターンです。全てのパターン×前方後方の8回について同じ譜面(★5 Trinity [Maniac])をプレイし、それぞれ90秒間の平均音圧を測定しました。

 

結果を簡単なグラフにしたものがこちらです。

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前方の箱が閉じている方向については、68→59と10dB弱の防音効果があることがわかります。最初に紹介した簡易防音室は平均して10dB強の防音効果があるようなので、まずまずと言ったところでしょうか*1。また、ダンボール箱だけでも半分くらいの効果があることがわかります。

 一方で、後方についてはあまり効果が見られないようです。打鍵音はコントローラーの側面からも発されているはずなので、その部分を覆うように後方の下3分の1も囲ってしまうといった工夫はできそうです。

 

ちなみに、防音対策の重要な一角である制振については、コントローラーを置く台の下にタイルカーペットを敷くことで元から対策していました。高さの微調整を兼ねて、ボックスの下に新たにゴムなどを設置しても良さそうです。

 

作ってから気付いた点

・高い防音性能の代償として、ボックスの中には熱気がこもります。とはいえプレイに支障が出るレベルではありませんでした。

・木箱には安定感があるので、コントローラーの上にちょっとした物を置けるようになったのが地味に便利でした。

 

まとめ

3千円台で音ゲーアケコン用の防音ボックスをDIYすることができました。防音効果は、ただのダンボール箱で囲うよりは高く、10万円台の簡易防音室よりは低いです。

 今後もちょっとした改良を試みるので、飛躍的に性能が改善するようなことがあれば、追加の記事にしたいと思います。

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また、IIDX SP☆12の難易度推定サイトCPIの運営も行っていますので、こちらもよろしくお願いいたします。

cpi.makecir.com

 

それでは、良き音ゲーライフを。

*1:10dB下がるごとに音圧は約3.2倍小さくなるようです。また、スマホの騒音計にどれほどの信頼が置けるかという点についてはこの記事が参考になると思います。

www.kanaderoom.jp