【IIDX】一流の<心的イメージ>を手に入れよう ~NORI選手にインタビュー①~

こんにちは、りせ(@rice_Place)と申します。

IIDX SP☆12の難易度推定サイト、CPIの運営を行っています。

 

以前こちらの記事

riceplace.hatenablog.jpで、これまでのビートマニア歴で考えたこと・取り組んだことに関するインタビューに答えてくださるトッププレーヤーを募集したところ、なんとBPLプロのNORI選手からご協力を得られました。

https://p.eagate.573.jp/game/bpl/season2/2dx/team/taitostation_tradz/04/index.html

今回は、そんなNORI選手へのインタビュー*1の様子を記事にまとめたいと思います。

 以下、―で始まる段落は筆者の、それ以外はNORI選手(文章中ではのりみそさんとお呼びしています)・配信へのコメントとなっています。

 

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限界的練習と心的イメージ

―限界的練習っていうのがありまして。英語で言うとdeliberate practice、直訳すると意図的な練習だと思うんですが、そこで出てきてるのが指導者が不可欠だっていう話なんです。

NORI選手:うん、うん、はいはい。

―で、そういう教える人がいなかった所で、一流・超一流を目指すときにできることとして、一流プレイヤーの心的イメージを手に入れようっていうのが大事になってくる。そういう最高のプレーヤーが成果を上げられた理由を調べて、 同じ能力・同じ心的イメージを身につけるために、自分がどうすればいいのかを考えましょう。ってのが、この本で言ってるところになります。

NORI選手:う~ん、なるほど。

 

―ここで問題になってくるのは、その一流のプレイヤーと同じことをしろって言ってるわけではないんですよね。例えば、身長が180cmある人と160cmの人だと、プレイスタイルって変わってくる。そういう大きな違いを自分にそのまま持って来るのはできなくて。それぞれ上げてる成果が何になるのか、それぞれどういう風にやってきたのかっていうことを知る。

NORI選手:はいはいはい。

―なので、今回のりみそさんが、のりみそさんの背景でやられていく中で、のりみそさん自身がどういうふうに考えてやってこられたのかっていうのと、それによってどういう風に変わったのかっていうのを聞くことによって、じゃあ自分はどうだろうっていう風に考えるっていうのが今回のポイントです。

NORI選手:なるほど、ありがとうございます。

 

NORI選手:上達論が最近定期的にバズる時があって、TLで誰かが大体言うのが、誰かの上達論がそのままあなたに当てはまることはなくて、色んな上達論の中で、これは自分に合ってるかなみたいなものを摘んでみたり、 合ってるかどうかもわかんないけど、ちょっと試してみようかな、みたいなのをやってみたりして。自分なりの答えじゃないですけど、やり方を見つけるしかないよね、みたいなもので。恐らくこの心的イメージってものも、のりみそはどうやらそう考えてるらしいが、じゃあのりみそが考えてる通りにやればのりみそぐらいになるのかって言われたら、別にそんなことはないけど、そういう風に考えてんだなみたいなものを考えるきっかけになってくれればいいかな、みたいな感じですかね。

 

―より細かく言うと、例えば横認識っていう技術があると思うんですが、なんで横認識が大事なのかって、昔ブログ書いたりしたんですけども、結論から言うと、たぶん最先端の脳科学者もあんまり答えられないんじゃないか。

NORI選手:なるほど、なんでなんすかね。

―とはいえ、みんな横認識できていて、特にプロになるような方とかだと、ある程度難しいごちゃっとした譜面を、横方向に分離していると思うんですよね。

―それをどう考えてやっているのかっていう時に、「横認識っていうのはこういう点で重要なんだ」っていう風にプロの方がおっしゃることには、興味が実はなくて、 それって後付けの理由かもしれないっていうことなんですよね。イメージってのはそうではなくて、横認識そのものっていう感じです。

NORI選手:横認識そのもの。

 

―画面に降ってくるものを見たときに、「どういう風に見てますか?」「横方向にこう分けてるな」っていうのが心的イメージなんで、そう意識してやってるっていうことですね。

NORI選手:なんでそうしてるかは、私も多分後付けです。

―それはその人にとってそう(いう意味)なだけだってこともあると思うんです。

NORI選手:はいはいはいはい、そうですね。

 

―大事なのは、その人がそういう風(な意識)になるにはどうなったかなので。考えてることっていうのは、意識してることとか、そういう感じになるんですかね。自分もこう一言で言うとこれだっていうのはなかなか言えないのと、この本も心的イメージってのはこういうものだっていうのですごいページ数を使ってるので、やっぱり一言で言うのはなかなか難しい概念だと思うんですが。今日インタビューさせていただきつつ、そのあたりについても詰めていければな、というのもありますね。

NORI選手:整理はお任せします。

 

―今回はその中で大きく分けて3ポイントあると思いまして。

―のりみそさんが初めてビートマニアに触れてからNORI選手になるまでに、それぞれ多分うまくなるポイントがあったと思うんですよ。例えば、初めて八段を取った時、十段、皆伝、☆12でAAAが出た時みたいな。そういうそれぞれのタイミングで、こういうことをやったらこういう風になったっていうようなこととか、このタイミングはこういうことを意識したなとか、そういうことをお話しいただきたいと思っています。

―2つ目が、今まさにプロとしてこう活躍なされてるこの瞬間に、普段の練習で自己ベストを出そうっていう時に意識してること。ちょっと今回は試合本番のメンタルについては割愛させていただいて。

―3番目が、上手くいかないな、上手くならないなっていうときに何を考えて、どういうことに意識したら上手くいった。逆にどういうことを意識するとスランプが長引いた、っていうのもお聞かせ願えたらと思います。

NORI選手:いいですね。わかりました、楽しそうですね。

 

NORI選手:あんまり私、振り返ってこなかった気がしてるんすよ。自分は割と場当たり的に、今日何しようとか、直近1週間なんかこうだったから、なんかこうするかみたいなぐらいでしかなってなくて。今までどうやって練習してきましたかとか、それこそビートマニア始めてきた頃からどうやってましたかって。自分がいま普通に楽しみです。

 

皆伝の壁、☆12ハード埋め

―一番最初にご自身の中で、なりふり構わず上手くなったっていうところを超えて、「あ、壁あるな」「これどうしよう」って、最初に考えたタイミングっていつだったでしょうか。

NORI選手:壁かー……。でも、やっぱ皆伝だったかなっていう気はしますね。 

 

NORI選手:ていうのも、始めたのは6thとかなので。 まず段位みたいな概念が全然ない時期*2でもありまして。それこそ大学に入るまでって、 本当に1人だったんですよ。CSの6th〜10thとかをひたすらやってた身だったので、あんまり段位のことも、それを取るとどうとかいうのも全然なく、目の前の好きな曲をただひたすらやってるみたいな。その頃SNSとかもほとんどやってなくて、意識せずにずっと遊んでて。初めて皆伝とかいう人たちに出会ったのが、多分高3の時とか、受験のシーズンとかで、それこそ、U76NERさんとか。

 

―作品でいうとどの辺りですかね。

NORI選手:僕の年齢と作品は比例してるので、SIRIUS、リゾアン(Resort Anthem)。

―その頃の皆伝はすごかったですもんね。

NORI選手:すごかったです。あの頃の皆伝は威厳があった。で、段位に執着した経験もこれまでなかったので、その時期に、なんか周りに皆伝が多いと。で、大学入って皆伝のやつがいると。でも、なんか俺は10段しか受かんねえなみたいになって。やたら皆伝を受けまくって、嘆きの樹に今でも壊滅的な癖がつき。

 

―皆伝の正規は行っちゃ(むやみに粘着したら)ダメって言われるようになったのって、わりと皆伝出てから随分後の話ですよね。

NORI選手:そうですね、皆伝は多分DistorteDとかですよね。なんで「皆伝が受かんない受かんない」ってすごい苦労したなっていう気がします。それ以前も壁はおそらくあったと思うんですけど、それに執着する意味を感じなくて、「他にできる楽しいことやってよ」ってすぐ逃げてた気はします。

―そこはやっぱり段位というか、皆伝の功罪というか。このゲームシステムで、皆伝を受かりたくない人はいないですよね。

NORI選手:ないんですよね。

―それがこう良くも悪くも、すごく視野が狭くなっちゃうところがありますよね。 

 

―肝心なところですが、のりみそさんがそこを越えるために、意識したこと、やったことってのは何だったんでしょうか。

NORI選手:やっぱ途中で気づいたんでしょうね。皆伝だけを受け続けても、多分皆伝には受からないと気づいて。じゃあどうするかってなった時に、ちょうど7強*3というか、☆12の難易度表が当時の2ちゃんねるとかで生まれ始めた頃*4に、じゃあまずそこからやるかみたいな。「☆12にはハードを付けていくと良いぞい」みたいな。 「あ、ハードゲージって使う意味があるんだ」みたいな、感じに多分気づいたんでしょうね。

NORI選手:じゃあ☆12のハード埋めしてみるかとなって。それって、やっぱり皆伝の壁と比べて小さかったので。例えばquell~the seventh slave~、Bad Maniacs、MENDES辺りにどうにかハードつけたいなとか言って頑張って。皆伝より低い壁にぶち当たって乗り越えていく、みたいなことをしてたんじゃないのかなと思いますね。

 

―じゃあ最初のところで言うと、同じことをやり続けていてもダメそうと考えて、☆12っていう難易度の中で、それを順番にやっていくことで、指標にしようっていう。要するに今では常識になってるような考え方が、当時はなかったってことですよね。

NORI選手:言われてみればそうですよね。体感的に蠍火がめっちゃ難しいとか、冥がやばいとかはあったんですけど。特別難しい、できないけどできそう、 ちょっと難しい、簡単の4段階ぐらいしか、自分の体の中にはなかった気がしますね。

―今そんなこと言ったらびっくりされちゃいますよね。

NORI選手:びっくりされますよね、CPIもBPIも☆12難度表もない世界みたいな。うん、今となってはなかなか信じらんないような時代だなと思いますよね。

 

上京、ライバルたちとの出会い

NORI選手:明確に皆伝っていう壁を乗り越えられた原動力としては、☆12のハード埋めだったんですけど。田舎の少年がですね、大学に来て、東京の大学で「え、ビートマニアって俺以外に遊んでる人いるんだ」みたいな感じになるわけですよ。高校に1人いたんですけど、 彼は十段前半か九段ぐらいだったのかな。まあ、お山の大将じゃないですけど、 1番うまい存在だったと思ったら、「同級生に皆伝いるじゃん」みたいになって。

NORI選手:その時はmixiで、「え、東大生ってこんなに皆伝いるの」みたいな感じになって、世界を知って、その人たちに追いつきたいみたいな。他人との比較が多分大学生になってから初めてやった概念で。誰が最初に全白になるのか、みたいなレースをしてたこともあったので、そこで否応無しに、「やばい、あいつが嘆き埋めたぞ」とか「バドマニに埋めたぞ」とか。俺も黙ってらんねえ、みたいな時期だったかなと思います。

 

―やっぱりそこで、クリア力みたいなものを比較する状況にもなったし、環境にもなったって感じですよね。

NORI選手:だと思います。周りの人がどうやってるかとか、どうやってやってけば良いかみたいなのが手に入るようになったし、それを欲しいと思うことは、かなり上手くなっていくにあたっては必要な要素だったかなっていう。

 

―じゃあ、その最初の壁を越えて、☆12をハード埋めしてみようっていうところから先は、またやればやるだけうまい期になったっていう感じですかね。

NORI選手:そうですね。だから皆伝から後で明確な壁って言われると、やっぱり穴冥ハード、穴冥AAAみたいな感じになりますね。もう冥に人生をなんか狂わされてる感じは結構しますね(笑)。 
NORI選手:最近だと、やっぱ3700*5とかも出ないな出ないなとか思ってましたし。これは多分古い人間なんでしょうけど、穴冥が全てのチェックポイントになってる感じはします。でも、皆伝ほどの壁ではなかったかなって感じはしますね。

 

―ちなみに穴冥ハード、穴冥AAAはどういう風に突破しましたか。

NORI選手穴冥はわりと充分な地力をつけて、殴った感じがします。とりあえず1000回とかやりたくなかったので。多分その頃にはEXHランプもあったので、 できるEXHランプをどんどん点けて行って、たまにランダムでやって、BPが20みたいなときに後100回もやればできるかな、やりたくねえなぐらいまで回り道してやった感じがします。

NORI選手:それもおそらく皆伝で学んだんじゃないですかね。できないことをやり続けてもしょうがないので、それ以外で上達を頑張って、大目標をたまに狙うみたいな。私のやり方は、多分そうなんだろうなと思います。

 

―ちなみに、穴冥ハードまで地力上げていくにあたっては、そんなに壁はなかったですか。

NORI選手:いや、でも苦労はしてたんですけど。 たまにやってダメなら、またちょっと他のEXHとか、その頃多分スコア狙いとかもやり始めてたと思うんですけど。そうですね、そんなに苦労はしてなかった気はしますね。なんかもう、他人との比較がとにかく楽しい時期だったと思うので。何も考えずとも、大学終わったらゲーセン行って、ビートマニアいっぱいやるみたいな時期だったので、気づいたら上手くなってた気はします。

NORI選手:時間はかかったし、穴冥ハードできないなってずっと思ってたけど、 その間にめちゃめちゃ長いプラトーがあったみたいな感じはしないですね。多分、着実に上手くなっていて、例えば半年前とかでも、3時間粘着したら穴冥ハードできてたのかもしれないですけど、僕は多分それをやらなかったんだと思います。

―じゃあ、ビートマニアをやっていて、目の前のあれこれそのものが楽しいっていう。

NORI選手:そうですね。かなと思います。

 

―これ以降は壁ってありましたか。

NORI選手:そうですね、あんまりないのかなあ、そういう意味では。

NORI選手:もちろん、いま例えば、僕はU*TAKAさんに叙情がワンチャンあるぐらいで、その勝てないことを壁と形容するなら、それは壁なんですけど。

―結構それこそ、まさに心的イメージかなっていうところはあって、 要するに無限に高いところに(目標を)設定すると、すべて壁になると思うんですよね。

NORI選手:ですよね。そうなんですよ。

 

―だからそこは、記事でもちょっと書いたんですけど、あまりに難しい課題とか高すぎる目標とか設定すると、それってむしろコンフォート。そこでアイデンティティが出来上がっちゃうっていうところもあるんですかね。

NORI選手:そうっすね、難しいですね。 なんで、言われてみると壁はあんまり感じたことがなかったかなと思います。

NORI選手:多分、壁って(言い)替えると長期的な目標とかになると思うんですよ、しかも達成が結構難しい。なんか、それを常に持ちながらビートマニアをするのは、辛いんじゃないかなっていう気が。

 

BPLプロとして

NORI選手:最近で言うと、僕は今BPLでプロやらせていただいていて、その巡目も4巡目で、 同じチームにはRIOOさんとPPJTさんとたっちゃん(TATSU選手)がいてってことを考えると、どう考えても僕が大将戦に出ることって、まあ多分なくて。そうすると、僕が出るべき場所って先峰か中堅かで、そうするとやる曲って☆11以下。

NORI選手:☆11以下で何しなきゃいけないかっていうと、自分を除く31人のバケモンみたいな人たちみたいに、いわゆる天井スコアみたいなものを出さなきゃいけない。っていうことを考えると、自分が毎日ゲームセンター行って意識することは、もう任意の曲で1桁落ちを出すとかいうことが目標になるので、なんかもう1ノーツも黄ばませない気持ちで、ビートマニアをただやるみたいな感じですね。無理なんですけど。なんで、黄グレが出た時は、なんでいま黄グレ出たんだろうなって、やっぱ考えますよね。認識が遅れたのか、 指がこんがらがってたのか、みたいな感じ。


―誰か上手な方が言ってたんですよね、理由がわからない黄ばみをなくすみたいな。

NORI選手:ああ、誰か言ってた気がする。

—例えば、Liberationのトリルが67に来ちゃったみたいなのはいいとして、交互で一応取れるところに来たし、予測もできてたのに、黄ばんだならどうするかとか。そういうことかなって自分は理解してるんですけど。

youtu.be

NORI選手:おっしゃる通りだと思います。

—67に来ても34に来ても17に来ても何も考えずに、「やっぱりLiberationのトリルは難しいな」っていう風に思うのかは、やっぱり変わってくるのかなっていうところありますよね。

NORI選手:そうですね。本当に全ての黄グレに、理由付けをするようにはしてるかもしれないです。

 

—疲れちゃいそうですけど……。

NORI選手:上手くなってきたことで、例えば1000ノーツ叩いて反省すべき箇所が10か所とかになると、まあそんなに疲れないですよ。

—なるほど、なるほど。そういう点でも、やっぱりあまりにも考えることが多すぎるっていうのは、効率が悪いのかもしれないですよね。

NORI選手:そうですね。なんで、僕も最初はある1小節でみたいな単位でやってましたよ。Todestriebの16分が降ってくるまでに黄ばんだら、筐体の床が開いて落ちてしまうみたいな、そういう感じでよくやってましたよ。気づいたら、それがちょっと伸びてきたのかな、みたいな感じはしますね。

www.youtube.com(16分が降ってくるのは動画0:40頃)


NORI選手:あとは、やっぱりBPLって形式なので課題曲があるわけで、わりと個別の曲に対しての研究とかは多いですよね。

—研究するにあたって考えてることっていうのは、何かありますか。例えば、譜面サイトで譜面見るとか、ハンクラを聞くとか。いわゆる座学って、いろんなやり方があると思うんですが。

NORI選手:これは結構人によります。PPJTさんとか、すごく予測がうまいんですよ。DOLCE.さん、U*TAKAくんも、なんかそういうの詳しい気がするし。

 

—1巡目の人がみんなやってるってほどでもないんですか。

NORI選手:例えば、MIKAMOさんが「これがここ来たからこれだね」っておっしゃってるイメージって、僕はあんまりない気がするんですけど、わかんないです。「いや、やってるよ」って言われたら、あの、ごめんなさいって感じです(笑)。

—穴冥のメインサブは皆さん気にしてると思いますけど、そのレベル感で全部の課題曲を把握してる人ばっかりじゃないっていうことですかね。

NORI選手:と思いますけどね、そんな気はしますね。


—のりみそさんの場合はどうなんでしょう。

NORI選手:僕はすごいそういうのできない人です。僕、ruin of opalsって曲めちゃめちゃ好きですけど、どのノーツがバスになるとか、何にも知らないですもん。最初割れると押しやすいんだよねってのは知ってるんですけど、何がどうしたら割れるのかも何も知らないですし。

NORI選手:わりと研究座学よりかはプレイして。僕は"歌えるようにする"って自分でよく言ってるんですけど、曲のリズムをひたすら体に染み込ませるようなやり方になりますね。それが多分良くて、この間のBackyard Starsみたいな、一般的にリズム難と呼ばれるような曲であっても、なんかまあ曲の通り押しゃあいいんだろうみたいな感じでやるようになってるのかなっていう気はします。

youtu.be


NORI選手:逆に均等な16分とかはもう均等なので、リズムも何もないみたいな。

—すごく浅い考えだと、変リズムが覚えられる人は、当然普通のリズムを覚えられるんじゃないかっていう風に思うんですけど。

NORI選手:いや、でも正しくて、僕のBPLの役立ち方というか。みんなが95点とる曲で 95点取るのは苦手なんですけど、平均点が70点の曲で90点取るのは好きなんですよ。もちろん、その16分の普通の綺麗なリズムの曲も、多分90点ぐらいは出るんですけど、周りの人は全然95点出るんですよ。

—最近ちょっとそういう戦いが多いですよね、BPL。

NORI選手:そういう戦いが多いです。なので僕はストラテジーカードが飛んできやすいんだろうなっていうのは思ってるので、今んとこ100%でいただいているので。

NORI選手:だからそれをどうにかしなきゃいけないっていうので、1ノーツも黄ばませない、基礎精度の向上が何よりも必須なんだなって、思ってるところですかね。

—なるほど、なるほど。

 

NORI選手:それこそ、もうチームメンバーに聞きます。あと、アドバイザー。PPJTさんとか4000クレとかじゃ利かないぐらいやってた時期があったとか聞いてるので、いろんな曲に対しての解像度がめちゃめちゃ高いんですよ。 
なので、僕が10曲やって「この曲ってここ難しいから意識した方がいいんだな」っていう気付きを、既に持ってらっしゃることが多いので、教えていただくような感じですよね。

—曲の解像度が高いって、いい表現ですよね。頭の中に「この曲ってこうだよね」みたいなのがある人とない人がいて、ない人が上手くないわけではないと思うんですが。 やっぱりある人は、少なくとも人にアドバイスするのとかって上手ですよね。練習曲が、ぽんと出てくるみたいな。

NORI選手:そうですね、まさにそう。

 

目標の小ささを意識する

コメント「大きな目標を持ちつつ、小さい目標をこまめに設定するのがよい」

NORI選手:僕はあの、 今「あなたの大きな目標ってなんですか」って言われると、最初にもそんな話したと思うんですけど、長期目標みたいなのはあんまり立ててないんで。多分それはあんまり良くないんだろうなと思いつつも、これまで逆に小さい目標を設定して、それをこなしていったところ、ある程度山は登れてるようになってるので。それは運がいいのか、 本能的に小さい目標立てがうまくできてるのか。

 

—心的イメージっていうことで言うと、"目標を立てる"とは、っていうところが結構ポイントになるんじゃないかと思うんですが。その小さい目標を立てるにあたって意識してることってありますか。

NORI選手:1回ゲーセンに行ったら、次ゲーセンに行ったら、多分できるなぐらいの壁の高さにしてる気がします。小ささですよね。

小ささを意識してるっていう感じですかね。

NORI:うん、じゃないと嫌になっちゃうんで。

 

NORI選手:だから、BPLの期間って結構辛いんですよね。対戦相手とかがわかってて、飛んでくる曲とかもなんとなく予想がついてたりするときとかは。

NORI選手:それこそ僕、明日ゲーパニ戦だからMIKAMOさんとやるんですよ、☆10のCHORDで。でも、MIKAMOさんのスコアと比較したくなんかないけど、 試合なんでしなきゃいけなくて。で、それって、次ゲームセンターに行ったら、達成できないですよ。なんで、多分スタンダードモードを選んだ瞬間に、その小さい目標を多分作ってるんですけど。 そんな計画立てて、ゲームセンター行ってないので。

youtu.be

NORI選手:で、多分そのMIKAMOさんになんとか勝てるかもしれない曲を作り出さなきゃいけないっていうのが、まさにコンフォートゾーンを抜け出すというか、限界的練習ということなんだろうなっていう気はしてます。

 

—そこで言うと、目標立てとしてのりみそさんが慣れてらっしゃるのかなっていうところですよね。フィードバックとかにも繋がりますが、結局そのクレジットが終わった瞬間には、フィードバックが返ってくると思うんです。

NORI選手:そうですね、ああ、できなかったなみたいな。極端に言うと、言われてみればですけど、もう、その次の曲、次の曲でワンチャン伸びる気がするっていうのを やってる気がしますね。それはやっぱり、例えばBPI的にもうちょっと出る気がするとか。それこそBPLの他の選手見て、 あの人がこの点数なら俺ならもうちょっと実は出るか、みたいなのを持ってやってみるとかになるんですかね。

 

NORI選手:だから(BPL)オンシーズンは「MIKAMOさんに勝て」みたいな感じになるので、小さい目標もくそもねえよみたいな感じになっちゃって。多分、息抜きに小さい目標をこなして「大丈夫。俺は上手くなってるんだ」って言い聞かせるような感じでやってますかね。

NORI選手:だから、やっぱりBeat Motivatorとかがあるので、 99%の表の曲が1個増えたとか。やっぱり嬉しいですし、そんな感じでやってることが多いですかね。

 

”終わった”スコアとの向き合い方

—既にやってる曲、この場合ランプよりスコアの方がわかりやすいと思いますけど、このスコア十分高いなっていう風な曲で、どうするかっていう問題が結構出てくるのかなと思うんですよね。

NORI選手:それ、すごいあります。もう満足スコアですよね、 自分的な。

—俗に言う”終わった”やつですよね。

NORI選手:そうです。だから、僕もAA3600*6初めて超えてから、多分AA1回も選んでないと思うんですけど。

 

—それってどう思いますか。やっぱりやった方がいいのか、終わってないやつやった方がいいのか。
NORI選手:難しいなとは思うんですけど。終わったか終わってないか基準って、僕の考えですよ、自分の身の周りの人たち・ライバルを見て、なんか俺が1番うまいなってなった時が終わったスコアになると思うんですよ。

NORI選手:AA3600とかは、キリの良さとか、もう歴史的な、こうAA3600出たらランカーみたいなのがあったりするので、外的な要因だと思うんですけど。それをいいライバルを持つと、ライバルが急に50点とか更新して、 「ああ、これって全然終わってないんだ」みたいな感じで叩きのめされる瞬間があって。それがあると終わってないスコアなので、終わったと思って手をつけてなかった曲を触り始められるような曲になるので。

 

—逆に言うと、そこまでは終わらせといていいかなっていう感じですかね。

NORI選手:そうですね、その曲が好きなら(プレイすれば良い)じゃないですかね。全ての曲を、自分の上振れ100%3σ*7のスコア出すまでやり込むぞ、みたいなのはそんなに意味はないかなっていう気はします。

―そうですよね。1000回やって1回を出すのにどれぐらい意味があるのかっていうのは、自己ベが一番の正義だった時代でも、ちょっと悩ましいところですよね。人間は無限にやっても時間の制約があって、1日に100クレはできない中でどうするのかっていうのは。
NORI選手:そうですね。もちろん歴代狙ってる人達とかになると、 やっぱり自分の中の100%のスコアを、それこそ1日100回も同じ曲やって出したりすることに意味があったりするのかなと思うんですけど。私はあいにく多分歴代を取るとかいう人間ではないので。

 

―どっちかというと、自分との比較っていうよりは、ライバル・周りの人と比較がモチベーションになってるっていう感じですかね。

NORI選手:もう完全にそうですね。

―それで言うと、歴代を狙うような人たちも、ライバルの比較が自分との比較に変わっただけなのかなっていう気はちょっとしちゃいます。

NORI選手:うん、そうですね、そうなんでしょうね。 ああ、大変なことしてるなあ。

 

―自分が上手くなったら、今度は自分の中で終わってないスコアになるっていう感じですよね。

NORI選手:だと思います。その到達っていうのは、今の自分の実力での到達したスコアが出たっていうだけなので。それで、例えば新しくクリアランプがつくとか。他の曲で「え、俺こんなスコア出るんだ」みたいな経験が積めた時に、最近あの曲やってないし、今1番ライバルの中でもうまいけど、でも俺はあの時より上手くなってると思うから、 もう1回やろうかな。みたいなのは結構あって。それは成長の実感になるので、1ヶ月前の自分が終わらせたスコアを今やってみるっていうのは、結構やるかもしれないです。

 

―心的イメージで言うと、MAXは誰が見てもMAXなのでMAXなんですけど、"終わった"かどうかってのも心的イメージだと思うんですよね。

NORI選手:いや、まさにそうだと思います。

―ライバルとの比較っていうのは結構わかりやすいとは思うんですが、 その代替がBPIやCPIになってくるわけですけれども、それがあると無いとって結構変わってきますよね。

NORI選手:変わってくると思います。

 

―逆にCPIの、まあBPIもそうだと思うんですけど、良くないところが、そこの基準があくまで1個の基準にしか過ぎないんで、言うほど難しくないこともあるし、言うほど簡単じゃないこととかもあったりして。だから、やっぱりCPI作った自分もあまりCPIのことは実は信用してない。

NORI選手そこは一緒ですね、僕もBPIのことは何も信用してないので。

―いや、こういうことを言うと、何なんだって感じになっちゃいますけど(笑)。(適正CPIのブレは)プラマイ50の間には入ると思ってます。CPI難度表の基準が50で分かれてますけど、やっぱり1個上1個下(の基準)には結構行かないですよね。

NORI選手:そうですね、そんな気はします。「確かにここで線引かれるのは納得するな」みたいなところに線引かれてるなとは思います。

 

―ここで言うと、(歴代レベルで)終わった終わってないみたいな時とかは、だんだんその線がシビアになってくると思って。そのレベルの世界観のことはちょっと、やっぱり自分はイメージつかないですね。

NORI選手:正直、自分もわかんないですね、まだ。

―ぶっちゃけ、6個と4個と2個と0個がどう違うのかってちょっとわかんないですよね。

NORI選手:僕の感覚だと、やっぱもう10と9は全然なんか違うんすよねえ。多分そんなにきっと差はない。よく考えたらない差はないんですけど。

―1桁か2桁かっていうことですか?

NORI選手:もう完全にそうだと思います。十進法のせいだと思う

―そこは気持ちの問題ですか。

NORI選手:ですし、きっと多分2と1と0は全部違うんだろうなって思います。 あんまり僕がそこまで詰め切ったことがないのであれですが。

 

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インタビュー後半は、

riceplace.hatenablog.jpをご覧ください。

 

 

引き続き、これまでのビートマニア歴で考えたこと・取り組んだことに関するインタビューに答えてくださるトッププレーヤーを探しています。このような区切り方を私がするのは大変おこがましいですが、クリア力・スコア力のどちらかで概ね世界100位前後までに該当する方であればより望ましいです*8

 インタビューにご協力くださる方や、本記事についてのご意見・ご感想のある方は、記事へのコメントあるいは冒頭の Twitterまでご一報をお願いします。


それでは、良き 音ゲーライフを。

*1:2022/8/23にYoutube上で行いました。該当動画は現在非公開としております

*2:段位認定は7thから

*3:当時の7強はAlmagest、Go Beyond!!、perditus†paradisus、冥、卑弥呼、灼熱Beach Side Bunny、3y3s

*4:☆12難易度表の歴史は十段スレの難易度表の歴史 | BPM@パプログ!↑に詳しい

*5:穴冥AAAは3556点

*6:AAの理論値は3668

*7:ここでは発生確率0.3%の上振れの意味

*8:この記事を書いている私は☆12の総合BPI・総合CPIでともに推定500位台程度です